③歴史の郷土に似合う庁舎?

 月形市長は隣人となった九州大学との連携に熱心です。夢を託して大いに結構ですが関心はもっぱら新技術の様です。先日も連携してキャンパス周辺に研究機関や企業を集め、最先端技術を生かした新規事業や商品開発で経済の活性化や雇用をめざすサイエンスパークの構想が報道されました。

 しかし、糸島は日本が誕生するころ中国、アジアへの玄関として栄えた古い歴史と文化を持つ郷土です。考古学者、原田大六氏は国宝になった平原(ひらばる)遺跡の大鏡4枚を詳細に考察し同じ鋳型で作られたもう1枚の鏡が伊勢神宮のご神体になっているはず、と生前に予言しました。

 また、平原遺跡に殉死者を伴って埋葬された女性の人骨を「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」とも言っています。多くの古墳、遺跡が点在する伊都国が、卑弥呼(ひみこ)の時代より百年以上も遡って三種の神器を祀る文化のクニだったからです。

 平原遺跡に江戸期の古民家を移築した市の公園づくりはピント外れというほかありません。糸島は伊都国の政庁跡とされた細石(さざれいし)神社、神話の神功(じんぐう)皇后につながる鎮懐石(ちんかいせき)八幡宮、福岡・宇美より古い宇美八幡宮など歴史遺産の宝庫ですが、多くの宝が眠ったままです。

 行政の取り組み方次第では、弥生の旅を楽しむ観光の糸島、も可能です。古代の景観を残す里山と背振山系をめぐる林道の整備で、滞在したい里山に育てる道もあります。学者が集う学術文化の町、体験型農業と旅の町をめざす九大文学部や農学部との連携が自然豊かな糸島に似合っています。

 まずは新庁舎ありきではなく、幅広い連携による新しい郷土づくりの長期計画こそ急がれます。歴史と文化の町にふさわしい新庁舎計画になっているのでしょうか。